PDCAとは「Plan/Do/Check/Action」の略。
「PDCAサイクル」なんて呼び方もありますね。
計画を立て、それを実行し、その結果を検証して改善につなげる。
これをくり返すことによって業務はどんどん改善され、業績はどんどん伸びていく・・・
という美しいモデルとして知られています。
ところが、
現場ではこんな声も多いんですね。
うちの部下たち、PDCAを回せって言ってるのに全然回せてないんだよ、まったく!
うちの上司、PDCAを回せ回せってしつこく言うんだけど、皿回しじゃないっつーの!
無敵の好循環のはずが、意外と回っていなくて不人気のようで。。。
一体どうして私たちのPDCAは回らないんでしょう?
PDCAの肝は「計画」ではない?
「Plan(計画を立てる)→Do(その計画を実行する)→Check(結果を検証する)→Action(改善につなげる)」というのが「教科書に書いてあるPDCA」ですが、
現実は次のような職場も多いのではないでしょうか?
一般的なPDCAは「計画通りに実行せよ」
Plan(計画):上層部の大人の事情で、無茶な数値目標が設定される。
Do(実行):無理な目標を達成するために、現場にはノルマと長時間残業が強いられる。
Check(検証):計画通りに目標達成できたかどうか検証。・・・未達成の犯人探しが始まる。
Action(改善):「怠け者」を排除し、責任者の首をすげ替える。心機一転、次の計画を立てる。
今度こそ、計画通りに実行して成果を出すんだぞ!
足を引っ張るやつはクビだ!
ひぇ〜! 次は自分がクビになる番だ〜!
こうして、PDCAを回せば回すほど「犠牲者」が増えていき、
残ったメンバーに上からのプレッシャーがすべてのしかかるという悪循環。。。
どうしてこうなってしまうのでしょう?
本来のPDCAは「実験」
本来のPDCAは「計画」ではなく「実験」です。「仮説検証」ともいえます。
Plan:こうすればもっと売れるんじゃないか?(仮説を立てる)
Do:やってみよう!
Check:効果はあった? なかった?
Action:効果があったらその案は今後も採用。
効果がなかったら不採用、次の仮説を立てる。
効果ありませんでした。名案だと思ったんですけど。
いいさ、このやり方では売れないということが発見できたんだ。次いこう、次!
PDCAを「計画を死守すること」と考える組織では、予想通りの結果にならなかった場合、責任問題になります。
これに対しPDCAを「実験」と考える組織では、結果が予想と違ってもそれは「うまくいかない方法が発見できた」という成果になります。
回し続けられるPDCAはどっちでしょう??
PDCAとABテスト
実は「PDCA」という言葉が流行するはるか以前から、ネット通販の世界ではこの手の実験が行われていました。
「ABテスト」という名前で。
Plan:通販のランディングページを改良したい。従来の文字多めのデザインに対し、写真メインのデザインにしたらもっと売れるかな?
Do:両方やってみよう! 従来のデザイン(A案)と新しいデザイン(B案)の2つのページを用意して、ユーザーはランダムにどちらかにアクセスするようにして・・・っと。
Check:1か月試したところ、B案の写真メインのページの方が20%多く売れました。
Action:よし、デザインに関してはB案を採用しよう。
次は写真だ。なにかアイデアはある?
Plan:これまでは商品だけの写真(A案)だったので、モデルといっしょに映った写真(B案)を比べてはどうでしょう?
以下、サイクルくり返し
これがABテスト。やっていることはPDCAと同じですね。
組織に余裕のあるうちに「実験」をしよう
PDCAは実験。頭では理解できます。
でも現実には、ついつい「計画通りに実行せよ」と言いたくなることってあります。
それは組織に余裕がなくなってきたとき。
業績が下がって余裕がなくなると、少しの損も惜しくなるため「予想通りになりませんでした。テヘッ♪」が許されなくなってしまいます。
そして「既成のやり方を守れ!」になってしまうわけですね。
そうなっては手遅れです。
組織に余裕のあるうちに、どんどん実験を重ねてPDCAを回しましょう!!
合同会社ロジカルライティング研究室代表
「ビジネス国語」によって職場の諸問題を解決する研修講師。
就職試験の論文をほぼ白紙で提出し3社連続で落とされたのをきっかけに論文試験の攻略法を研究。誰でも書ける独自のメソッドを開発した結果、大手大学受験予備校の小論文講師に抜擢され、NHK Eテレ「テストの花道」にも出演。
その後、所属予備校が業界最大手から陥落し校舎を大量閉鎖、自身もリストラされるまで怒涛の数年間を経験。混乱する組織の中で意思疎通のエラーを詳細に観察し「ビジネス国語」を体系化する。独立後は社会人教育に転身し、大手企業の社員研修に多数登壇。受講者との軽妙なやり取りは「研修というより、めちゃくちゃ役に立つエンタメ」と評される。
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