プレゼンの達人は、なぜ“ストーリー”を語るのか?

スティーブ・ジョブズ、TEDスピーカー、人気の講師たちに共通するのは、「話がうまい」だけではなく「話に引き込まれる」こと。
その最大の理由が、ストーリーテリングです。

  • 「最初にあんなことがあって…」
  • 「そのとき私は、こう決めたんです」
  • 「それが、今ここでこの提案をする理由です」

このような話の入り方は、聞き手の心を開き、話の“受け入れ準備”を整える力を持っています。


ストーリーは「納得」ではなく「関心」を生む

論理は人を納得させる。
しかし、人は“納得する前に、まず耳を傾けるかどうか”を判断します

そのときに役立つのがストーリーテリング。

  • 話し手の人柄が見える
  • 問題の背景に臨場感がある
  • 「自分にもありそう」と思わせる共通点がある

つまりストーリーとは、聞き手が“この話を聞こう”と思うきっかけなのです。


ロジカル構成とストーリーは対立しない。むしろ両輪

ありがちなのは、次のような誤解です:

「ストーリーにすると構成が崩れる」
「PREPや三分構成を使うと、感情が伝わらない」

でも、これは使い方の問題です。実際には:

  • 構成:情報の道筋をつくる骨組み
  • ストーリー:そこに乗せるコンテンツ、感情、納得感

構成がしっかりしていれば、ストーリーをどこに入れても話はブレません


たとえばこう使う:「PREP+ストーリー」の構成例

「私は、この提案を採用すべきだと考えています(Point)。
というのも、私自身が現場で困った経験があるからです(Reason)。
3年前、A拠点で作業工程に遅れが出たとき、紙の指示書のやり取りで混乱が起きました。その時、“これ、根本的に仕組みを変えなきゃダメだ”と思ったんです(Example=ストーリー)。
その経験から、今回のクラウド管理ツールを提案しています(再Point)。」

PREPの中の「理由」や「具体例」のパートにストーリーを入れると、論理の骨に感情と信頼がのる構成になります。


ストーリーが有効に機能する場面とは?

  1. 導入(アイスブレイク)としてのストーリー
     → 聞き手との距離を縮め、「聞く空気」をつくる
  2. 理由や背景の補足としてのストーリー
     → 単なる理屈では伝わらない“必然性”を補強
  3. 結論のあとに「なぜこれにこだわるか」を語る
     → 提案の真剣度、覚悟、動機が伝わる

ストーリーの注意点:「長さ」と「目的」

ストーリーが効果的でも、“自分語り”になった瞬間に逆効果です。

ポイントは以下の2つ:

  • 長くしすぎない:1〜2分が目安
  • 主張とつなげる:「だからこそ、私はこう考えます」につなげる

ストーリーは“本題へのブリッジ”。
本題を忘れるような脱線ではなく、伝えたいことをより強くする“前フリ”として活用するのが正解です。


おわりに:「構成」と「ストーリー」は競合しない。両方あってこそ、伝わる

ストーリーで心を開き、構成で納得させる。
そのバランスが取れているプレゼンこそ、感情にも論理にも届くのです。

PREPや三分構成といった論理の型をベースにしながら、
適切なタイミングとボリュームでストーリーを挿し込む。

これが、“わかってもらえるプレゼン”の理想形です。

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