「丁寧に説明したはずなのに、伝わらない」
- 「順を追って全部説明しました」
- 「資料もたくさん用意しました」
- 「スライドに漏れなく詰めました」
…なのに、聞き手はこう言います:
「話が長い」
「で、結局なにが言いたいの?」
「他と何が違うの?」
これは、情報量の問題ではなく“取捨選択の問題”です。
プレゼンで一番大事な作業は「削ること」
多くの人は、プレゼン=話す練習だと思いがちですが、
実際に一番時間をかけるべきは“情報を間引く”ことです。
なぜなら、聞き手には「時間」と「記憶容量」に限界があるから。
▷ ワーキングメモリは3つまで
人間の脳が一度に処理できる情報は3〜4チャンク(塊)までと言われています。
「8個の特徴」より「3つのポイント」のほうが伝わる
「A案の10のメリット」より「A案の3つの強み」のほうが選ばれやすい
だからこそ、プレゼンとは「何を伝えるか?」よりも、
「何を削るか?」が勝負なのです。
削れない人の話は、長くて、弱くて、ぼやけている
長い話の特徴:
- 弱い情報を捨てきれず、全部並べてしまう
- 「補足ですが…」が多すぎて、結論が遠のく
- 関係の薄い例や数字を盛り込んでしまう
結果、「話がぼやける」「伝えたいことが埋もれる」状態に。
説得力とは“情報量”ではなく“重点”です。
プレゼン構成の鉄則:「言いたいこと」ではなく「聞かせる価値のあること」だけ残す
情報の削り方の基準はこうです:
残すかどうかの判断軸 | 自問すべき問い |
---|---|
聞き手の判断材料になるか | 「この話が相手の“判断”や“選択”にどう関係するか?」 |
他の案との違いを際立たせるか | 「この情報で“差別化”が伝わるか?」 |
行動につながるか | 「この情報で相手は“動ける”か?」 |
この3つに該当しない情報は、プレゼンには不要です。
実例:こんなスライドが伝わらない
タイトル:導入実績
内容:導入企業名30社+数字+業種+詳細エピソード×3社分
→ これでは「すごいのはわかるが、何を伝えたいのかが見えない」
◎修正案:
タイトル:なぜ選ばれるのか?
内容:「選ばれる理由ベスト3」と代表事例を1つ
→ 強調ポイントを絞ることで、「印象に残る情報」になる
おわりに:プレゼンは「すべて言う」場ではない。「選ばせる」場である
- 聞き手は「教えてもらう」ためではなく「選ぶ」ために聞いている
- 情報が多すぎると、選べなくなる
- だから、プレゼンは「省く勇気」と「残す判断力」が問われる
話が長くなる人=情報の“強弱”をつけられない人です。
ロジカルプレゼンとは、主張を立てる前に“削る”ことで成り立つ技術です。
まずは、「これは言わなくていいかもしれない」と立ち止まるところから始めてみましょう。

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