「結論から言いなさい」が通用しない場面がある
ビジネスプレゼンの鉄則としてよく言われます:
「結論から話せ」
「PREPでいけ」
「最初に言いたいことをはっきりと」
もちろん、これは基本です。
結論を先に言えば、話の筋が追いやすくなるからです。
でも、それが通用しない場面があるのも事実です。
「結論から話す」と、かえって損をするケース
ケース①:聞き手が“結論に反対している”とき
「この案でいきます」
→「は?聞いてないし」
相手が納得していないときに先に結論を言うと、防御反応が働きます。
その後にどんな理屈を並べても「正当化してるだけ」と見なされてしまう。
ケース②:聞き手の前提がこちらとズレているとき
「Webフォームを改善すべきです」
→(フォームが問題だなんて、思ってないけど?)
前提が合っていないまま結論を言うと、聞き手は話の本筋に乗ってこないのです。
納得は「段取り」。順番がズレると伝わらない
ロジカルな構成とは、「聞き手の頭の中の動きに合わせて話を組むこと」。
そのためには、常に“結論先出し”とは限らないのです。
むしろ、「結論をあえて後に持ってくる」構成が効果的な場面もあります。
効果的な“逆張り構成”3パターン
① 共感→問題提起→提案(ストーリー型)
「私も最初は◯◯だと思っていました。でも、実際にはこんなことが起きていたんです。そこで私たちは、△△という提案に至りました。」
→ 「自分と同じ目線で考えてくれている」と思ってもらえる。
② 問いかけ→根拠→結論(論証型)
「なぜ新人の離職率が高いのか? その要因は3つあります。だからこそ、オンボーディングの見直しが必要です。」
→ 聞き手の“納得の階段”を上らせてから結論へ。
③ 事実提示→問題提示→提案(背景重視型)
「昨年の研修参加率は52%でした。その一方で、◯◯という課題も見えてきました。以上を踏まえ、来年度から制度変更をご提案します。」
→ 事実の積み上げで“なるほど感”をつくる。
使い分けのコツ:相手が「YES」と言える状態か?
相手の状態 | 最適な構成 |
---|---|
前向きで結論を受け入れそう | ◎ 結論先出し(PREPなど) |
懐疑的 or 前提が違いそう | ◎ 結論は後回し(逆張り構成) |
つまり、「結論を先に言うかどうか」は話し手ではなく、相手が決めるということです。
おわりに:結論は「先に言う」ではなく、「受け入れられるときに言う」
プレゼンで本当に重要なのは、“いつ言うか”より“どう届くか”です。
- 相手がYESと言える地ならしができているか
- 結論に反発されない順番を設計できているか
- 理解と共感が進んだタイミングで、結論を“落とす”設計になっているか
それができていれば、結論は先でも後でもちゃんと伝わります。
「順番」には“論理”があります。
聞き手の感情と立場を読みながら、あなたのプレゼンの説得力を最大化しましょう。

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