「ていねいに書いているのに、伝わらない」

  • 「語尾を『〜いたします』に統一しました」
  • 「失礼のないように、敬語をたくさん入れました」

…なのに、上司からのコメントは一言。

「で、何が言いたいの?」

これは、“ていねい”と“わかりやすい”を混同している状態です。


丁寧語ではなく、“構造”が伝わる文をつくる

ビジネス文書において重要なのは、語尾の形式よりも、情報の整理のされ方です。

項目丁寧語の作文ロジカルライティング
書き方の基準語尾をていねいに、表現を和らげる結論・理由・根拠などの構造を重視
主な目的失礼のない印象を与える相手に内容を正確に、速く、伝える
読み手の反応感情的には好印象認知的には「なるほど」と納得できる構成

ロジカルライティングは、「ていねいさ」ではなく、**“読み手が迷わない論理の順番”**で書くことが肝です。


「丁寧なだけの文」が起こす3つの弊害

① 結論がぼやける

✕「ご報告申し上げますのは、昨日の件について、◯◯の件がございまして…」
→ 何の報告なのかが最初の1文でわからない。

② 論点が見えない

✕「引き続きよろしくお願い申し上げます。なお、本件につきましては…」
→「何の話をしているのか?」が見えず、論点が埋もれてしまう。

③ 結局、何をしてほしいのかがわからない

✕「ご確認いただけますと幸いです」
→ 依頼なのか、意見がほしいのか、承認が必要なのかが不明。


対策①:まず結論を明確に

「結論→説明→行動」の順番が基本です。

◯「A案を採用すべきです。その理由はコストと納期の観点から最もバランスが取れているためです。詳細は以下に記載します。」

「何を伝えたいのか」を最初に言うことが、最大のていねいです。


対策②:「敬語」で満足せず、「構造」で整理する

たとえば、以下のように書くと読みやすさが変わります:

  • Before:「ご多忙のところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。」
  • After:「お忙しい中恐れ入りますが、以下の点についてご確認をお願いいたします。理由は以下の通りです。」

敬語より、“意図が明確かどうか”が相手にとって重要です。


対策③:依頼・報告・提案の“文の型”を身につける

ロジカルライティングでは、内容に応じて適切な型を選びます。

  • 依頼 →「依頼内容 → 理由 → 締切 or 希望」
  • 報告 →「結論 → 経緯 → 次のアクション」
  • 提案 →「主張 → 根拠 → 具体案 →メリット」

これらを自分の中のテンプレートとして持っておくことで、無駄に丁寧語で埋め尽くさなくても“伝わる文”になります。


おわりに:「丁寧」は語尾ではなく、構造で示す

ていねいな文章とは、読み手に負担をかけない構造で書かれた文章です。

  • 目的がすぐにわかる
  • 要点が整理されている
  • 行動が明確に指示されている

これらを満たす文章こそが、“ていねいで信頼できる文章”です。

ロジカルライティングは、
「誤解させない力」=最大のビジネスマナーです。

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