書いた本人は読める。でも他人は読めない
「自分ではちゃんと書けたつもりなんですが…」
「読んでもらえれば、ちゃんと意味はわかると思います」
こう話す人の文章を見てみると、内容は間違っていないのに、読みにくいということがあります。
原因は、内容ではなく構造の不在です。
文章の「構造」って、どういう意味?
文章における構造とは、「情報が論理的な順番で並んでいて、全体像が見えるようになっていること」です。
例えるなら:
- ✕ 構造がない文章 → 倉庫に放り込まれた荷物
- ○ 構造がある文章 → ラベル付きで分類された棚
つまり、情報の“整理整頓”ができているかどうかが構造の有無です。
なぜ構造が大事なのか? ―読み手は“初見”だから
書き手は、自分の頭の中に「地図」がある状態で文章を書きます。
でも、読み手はその地図を持っていません。
だからこそ、構造がない文章はこう読まれます:
- 「なんか話が行ったり来たりしてる…」
- 「どこが結論なのか、わからない」
- 「読み進める気力がなくなる」
構造がある文章は、読み手の頭の中に“地図を描く”文章なのです。
構造がある文章=「見通しが立つ」文章
構造的な文章には、次のような特徴があります:
- 冒頭で全体像がつかめる(結論・論点が先にある)
- 話の区切りが明確(段落・見出しで分かれている)
- 各段落に役割がある(主張→理由→具体例など)
構造を持つことで、読み手は安心して読み進められます。
これは「読者を迷子にさせないライティング」です。
PREPや三段構成がなぜ役に立つのか?
PREP(Point→Reason→Example→Point)や三段構成(主張→理由→結論)は、単なる型ではありません。
これらは「構造を明示するためのツール」です。
たとえば:
- Point(結論):「A案を採用すべきです」
- Reason(理由):「コストと納期の両面で優位だからです」
- Example(例):「◯◯社でもA案を採用し成果が出ています」
- Point(再主張):「以上から、A案を採用すべきです」
このように、「何がどこに書かれているか」が読み手にとって予測可能になる。
それが構造の力です。
構造を意識するだけで、伝わり方は劇的に変わる
たとえばこの2文:
「このサービスは、コストは安いが品質も高く、他社と比較しても優位性があると言えます。」
「他社と比較して、このサービスはコスト面で安く、なおかつ品質も高いため、優位性があります。」
後者の方が、「結論(優位性)→理由(安さと品質)」という構造が明確で、読み手にスッと入ります。
おわりに:「構造」は思いやりである
文章に構造を持たせることは、書き手の自己満足ではなく、読み手への配慮です。
ロジカルライティングの目的は、「読めばわかる」文章ではなく、「読まなくてもパッとわかる」文章を目指すこと。
その第一歩が、「何を言いたいか」「どう展開するか」を決めてから書き始めること。
構造をデザインする意識が、伝わる文章をつくります。

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