PREPを使ってるのに、伝わらない?

「PREPで書きました」と言って提出された文書を読んでみると…

Point(主張):頑張ります。
Reason(理由):大変だからです。
Example(具体例):残業もします。
Point(再主張):なので頑張ります。

――こういう文章、よく見かけませんか?
たしかにPREPの形にはなっています。でも、読み手には何も残らない

それはPREPのせいではなく、PREPの“使い方”を誤解しているからです。


PREPとは?おさらいと定義

PREPは、「Point(主張)→ Reason(理由)→ Example(具体例)→ Point(再主張)」の頭文字を取った構造パターンです。

目的は「結論ファースト」と「論理の見える化」

この型を使うと:

  • 結論が先に来るので、話の主旨がすぐに伝わる
  • 理由と具体例が続くため、納得感が生まれる
  • 読み手が論点を見失いにくくなる

つまりPREPとは、相手が理解しやすい順番で情報を並べるための“整理整頓ルール”なのです。


PREPがうまく機能しないのはなぜ?

PREPを「型」としては理解していても、“構造化”の意味を誤解している人は多いです。

ありがちな誤解①:「PREPで書けば論理的になる」

PREPは構造にすぎません。
中身が薄ければ、どれだけ整っていても伝わりません。

  • ✕「言いたいこと → なぜならそう思う → たとえばそうした → 言いたいこと」
  • ○「主張 → 客観的理由 → 実例・データ → 要点の再確認」

つまり、「内容を構造に合わせる」だけでなく、内容自体を論理的に構築する必要があるのです。

ありがちな誤解②:「PREPは文章だけのテクニック」

PREPは「書く技術」だけではありません。
会話、プレゼン、会議発言、チャットでも使える汎用的な構造です。

たとえば:

上司:「なんでこの方法にしたの?」
あなた:「はい。結論から申し上げると、A案が最適です。なぜなら、コストと納期の両立ができるからです。実際、先月も同様の事例でA案が功を奏しました。以上の理由から、A案を採用すべきと考えます。」

PREPが自然に使えると、「話がわかりやすい人」「信頼できる人」と思われます。


PREPで伝わる文章をつくる3つのポイント

  1. 主張(P)に曖昧な言葉を使わない
     ×「やったほうがいいと思います」
     ○「実施すべきです」
  2. 理由(R)に根拠を含める
     ×「その方がいいと思ったから」
     ○「時間的・金銭的コストの両方を抑えられるから」
  3. 具体例(E)にリアルな場面やデータを入れる
     ×「たとえば他社もやってます」
     ○「たとえば、◯◯社ではこれを導入後、処理時間が30%短縮されました」

PREPは、情報の順番と“中身の精度”がセットで初めて機能するのです。


おわりに:「PREPで書いてるのに通らない」の処方箋

PREPは万能なようでいて、使い方を誤ると「説得力の薄いテンプレート文章」になります。
その原因は、「構造をなぞること」だけに意識が向き、中身の論理や説得の流れが置き去りになっているからです。

PREPは魔法ではありません。
でも、正しく使えば「誰でも論理的に書ける」ための、最高の補助輪になります。

まずはひとつの主張から。
PREPで論理の“道筋”を見せるところから始めましょう。

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