ロジカルに考えたのに、うまくいかない?
「ちゃんとロジカルに分析した」
「資料もフレームワークも完璧だった」
…でも、現場ではまったく通用しない。
そんな経験はありませんか?
それは、頭で考えた“理屈”と、現場の“実態”がズレていたからかもしれません。
ロジカルシンキングが“空回り”する瞬間
以下のような会話が職場にありませんか?
「理屈ではそうかもしれないけど、現場では無理なんだよね」
「それって、こっちの実情を知らない人の発想だよね」
この“ロジカルなつもり”が煙たがられる現象。
それは、「理屈は通っているが、現実を知らない」状態――つまり、机上の空論です。
現場知とは何か?
「現場知」とは、実際にその場で働いている人たちの経験、勘、日々のやりとりから得た知識です。
- 数字には出ないけど、現場の人は皆知っていること
- 書類では正しいが、実際にはうまくいかない手順
- “理屈通りにやる”ことの難しさを知っている感覚
これは、いわば「暗黙知」に近いもので、論理でなく体験から得られる“肌感覚”の知恵です。
ロジカルシンキングと現場知は両立する
論理的思考というと、「現場を軽視するスマートな理屈」と誤解されがちです。
しかし、本来のロジカルシンキングは、現場知から出発してこそ意味があるのです。
両者の関係をまとめると:
種類 | 現場知 | ロジカルシンキング |
---|---|---|
主な材料 | 経験、観察、日々の会話 | 分析、分類、構造化 |
強み | 現実的・実践的 | 客観的・再現性がある |
弱点 | 感覚的で体系化されにくい | 抽象的になりすぎると現実離れする |
目指すべき姿 | 経験に基づきつつ論理で整理する | 論理を使いながら現実に根ざす |
では、どう融合させるか? ―「帰納」から「演繹」へ
多くのフレームワークや理論は、上から下へ適用する「演繹法」に基づいています。
でも、現場に効く思考とは、
現場の事例(具体)から出発して
共通項を整理し、法則や枠組み(抽象)に昇華する
という「帰納法」のアプローチです。
たとえば:
- 現場でなぜ報告がうまくいかない? → パターンを分析
- 「指示語が曖昧」「主語が抜けている」などの共通項を発見
- 「PREPの主張を先に言う」などの原則を導く
これが、現場知をロジカルに昇華するプロセスです。
教科書の理論ではなく、「現場から生まれたフレーム」を
私たちロジカルライティング研究室のコンテンツは、外資系コンサルの理論ではなく、現場のつまずきから生まれたものです。
- 高校生の小論文指導で「そもそも“意見”とは何か?」から始めた構造化
- 営業社員のメール添削で見えた「順番のつまずき」から整理されたPREP法
- 工場の管理職と共に、失敗談から生まれた「考えを言葉にする4ステップ」
こうしたプロセスこそが、「現場知×ロジカル」の融合です。
おわりに:「理屈っぽい」ではなく「納得できる」に
論理が強い人が煙たがられるのは、“正しいこと”を言っているだけで、納得感を与えていないからです。
現場から出発し、現場の言葉で整理する。
それが、現実に効くロジカルシンキングです。
“論理で上から押さえつける”のではなく、
“経験をすくい上げて整理する”――それが、私たちの考えるロジカルのかたちです。

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