「考える力」とは、ひとつではない

「ロジカルに考えよう」と言うと、多くの人は“筋道を立てて考える”ことを思い浮かべます。
たしかにそれは、ロジカルシンキングの中心ではあります。

しかし実際の問題解決の現場では、それだけでは足りません。

  • 決まった枠組みの中で、正しい答えを選ぶ力
  • 枠組み自体を疑い、飛び越える力

この2つの思考スタイルを、私たちは次のように呼び分けています:

  • クリティカルシンキング(Critical Thinking)
  • ラテラルシンキング(Lateral Thinking)

クリティカルシンキングとは? ―「前提を疑う力」

「クリティカル(Critical)」というと否定的な意味に感じるかもしれませんが、ここでの意味は「批判的=見直す・問い直す」というポジティブな態度です。

クリティカルシンキングの特徴:

特徴内容
目的情報の正確さを見極め、誤解や誤謬を避ける
アプローチ前提を疑う、論理を検証する
典型の問い「本当にそう言えるのか?」「根拠は妥当か?」
活躍する場面データ分析、提案の妥当性確認、意思決定前の検討など

例:

「この提案は効果的だ」
→「その効果の定義は?」「根拠となるデータは信頼できるか?」

これは、“うのみにしない”訓練でもあります。


ラテラルシンキングとは? ―「枠を外す力」

一方、ラテラル(Lateral)は「側面の・横の」という意味。
つまり、“横にそれる発想
”を意味します。

ラテラルシンキングの特徴:

特徴内容
目的新しい視点を生み出し、行き詰まりを突破する
アプローチ常識や慣習にとらわれず、あえて枠を外して考える
典型の問い「そもそも何のために?」「他の見方は?」
活躍する場面企画立案、ゼロからの発想、ブレイクスルーが必要なとき

例:

「予算削減のため、出張を減らす」
→「そもそも出張が本当に必要か?」「目的が対話なら、別の手段は?」

これは、“そもそも発想”の訓練です。


2つの思考は対立ではなく「両輪」

クリティカルとラテラルは、どちらか一方だけでは不十分です。

  • ラテラルだけでは「アイデアは出るが、実行性がない」
  • クリティカルだけでは「正しいけれど、前に進まない」

この2つは次のように補完し合います:

ステップ思考スタイル活用の仕方
発想する段階ラテラルシンキング常識を疑い、新しい視点で考える
絞り込む段階クリティカルシンキング論理的に検証し、現実的な選択をする

こんなシーンでどう使う?

ケース①:新規サービスの企画

  • ラテラル:「そもそも顧客はサービスを“買いたい”のか?」
  • クリティカル:「このターゲット像はデータに基づいているか?」

ケース②:トラブル対応

  • ラテラル:「解決手段がそもそも電話である必要は?」
  • クリティカル:「この対応策は過去にも有効だったか?」

おわりに:「発想」と「検証」のバランスが、問題解決力になる

  • クリティカル=壊す力(不要なもの・誤ったものをそぎ落とす)
  • ラテラル=飛ぶ力(今の枠から一歩外へ出る)

この両方が使える人は、「枠を疑って、正しく越える」ことができます。

発想は自由、検証は慎重。
そのバランスこそが、実務で通用する思考力の正体です。

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