便利なはずが、逆につらい?

「ロジカルに考えよう」と言われて、フレームワークを検索し始める。
PREP、SWOT、4P、3C、PDCA、ロジックツリー…

最初は「便利そう!」と感動していたはずが、ある日ふと、こんな感情に襲われることがあります。

「フレームに当てはめるのが目的になっていないか?」
「これ、本当に考えてるって言えるのかな…」

これは、“フレーム疲れ”と呼ばれる状態です。


フレームワークとは何か? まず定義を確認

フレームワークとは、思考の整理に役立つ「型」や「枠組み」のことです。
複雑な問題を分解したり、抜け漏れを防いだりするための“思考の補助線”です。

しかし、「補助線」が主役になってしまうと、本来の目的――「考えること」や「伝えること」が後回しになります。


よくある“フレーム疲れ”の症状

① 型に当てはめるだけで満足してしまう

  • 例:「PREPで書いたから論理的なはず」
    → 中身が浅くても構成だけ整っていると“できた気”になる

② フレーム選びに迷って、考える手が止まる

  • 例:「この課題には3C? 4P? SWOT?」
    → そもそも現場でそこまで分けてる時間はない

③ フレームに合わない情報を無理やり押し込める

  • 例:「PDCAに当てはまらないけど、Dに入れておくか…」
    → 情報が歪み、むしろ混乱する

なぜフレーム疲れが起きるのか?

  1. 「使いこなす」ではなく「正解に当てはめる」感覚で使っているから
     → 試験やお勉強モードに近く、思考停止になりやすい
  2. 言葉だけ知っていて、目的や原理を理解していないから
     → なぜその型が必要かが腹落ちしていないと、「型」だけが独り歩きする
  3. そもそも課題が明確でない状態で、いきなりフレームに飛びつくから
     → 「考える順序」が逆になっている

処方箋①:「枠より中身が先」原則を思い出す

たとえばPREPは、「Point(主張) → Reason(理由) → Example(具体例) → Point(再主張)」の構成です。

でも、中身が曖昧だとPREPはこうなります:

Point:頑張ります。
Reason:大変だからです。
Example:残業もします。
Point:なので頑張ります。

中身が空回りしている例。

構成は後から整えるもの。
まずは「何を伝えたいのか?」という“論点”を見つけるほうが先です。


処方箋②:フレームは「問いを生む道具」として使う

フレームワークは、「型」ではなく「問い」として使うと有効です。

たとえば:

  • 3C → 「顧客は誰?」「競合は何をしてる?」「自社はどう違う?」
  • PDCA → 「計画はある?」「どこまで実行した?」「振り返りは?」

つまり、“当てはめる”のではなく“問い直す”ための道具として捉えることで、思考の質が上がります。


処方箋③:ときには「自作のフレーム」を持つ

現場の仕事には、既存のフレームが合わないこともよくあります。

たとえば、工場の現場管理であれば:

  • 安全
  • 品質
  • 生産性
  • 現場の声

これが現場独自の“4要素”として機能するなら、それで十分です。

「正しい型」にこだわるよりも、チームで共有できる整理軸を持つことの方が価値があります。


おわりに:型は「考えないため」に使うのではない

フレームワークは、本来「思考を支えるための杖」です。
でも、杖に頼りすぎて歩かなくなると、思考は鈍ります。

  • 「考える」→「整理する」→「伝える」
    この順番を崩さない限り、フレームワークは強力な味方になります。

「型に合わせる」ではなく、「型で問い直す」へ。
それが、フレーム疲れを乗り越える第一歩です。

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