「論理的に考えて」と言われても…
「もっと論理的に話してくれ」
「それ、論理的じゃないよ」
――職場でよく聞くこの言葉、実は言っている本人すら、その意味を正確に説明できないことが少なくありません。
ロジカルシンキング(論理的思考)は、単なる頭の良さでも、屁理屈のことでもありません。ビジネス現場では、相手に伝え、納得してもらい、行動を起こすために欠かせない、実践的なスキルです。
では、その核心である「論理的」とは、いったい何を意味するのでしょうか?
一般的な定義:「論理的=つながっている」
世間一般では、「論理的とは、話の筋が通っていること」「主張と根拠がつながっていること」などと定義されます。
これは間違いではありません。
しかし、「どうつなげればいいの?」「どこがズレてるの?」という疑問に答えるには、やや抽象的です。
論理の新定義①:「論理的=相手の知りたい順に情報が並んでいること」
言葉は「つながって」いても、相手に伝わらなければ意味がありません。
アメリカの言語学者ロバート・カプランは、文化によって文章展開の順番が異なることを指摘し、次のように定義しました。
「各部分の順序が読者にとって意味のある原理に基づいて構成されているとき、論理的と感じられる」(R. Kaplan, 1966)
つまり、「話が飛んでる」「わかりにくい」と言われる文章は、伝える順番が相手の期待とズレているのです。
論理とは、自分の都合ではなく、相手の理解を基準に組み立てる構造でもあります。
論理の新定義②:「論理=2つのものの関係性」
もうひとつ、弊社では論理を「つながり」ではなく、より具体的に次のように捉えます。
論理とは、2つのものの関係性である。
代表的な関係には、以下の3つがあります:
- A = B:共通点(例:リンゴとみかんはどちらも果物)
- A ↔ B:相違点(例:リンゴは甘く、みかんは酸っぱい)
- A → B:因果関係(例:花が咲いて受粉すると、実がなる)
この関係性を整理できていないと、人はモヤモヤします。
たとえば、比較しているつもりが、実は因果関係の話になっていたり、「同じ」と言いながら差異を混ぜ込んでいたり。
ロジカルシンキングとは、関係性をごちゃまぜにせず、分類し直し、構造的に整理する力でもあるのです。
「論理的」とは、わかりやすく、納得できる構造をつくること
まとめると、「論理的」とは:
- 相手の頭の中の“疑問の順番”に合わせて
- 情報を整理・分類し
- 関係性を見える形でつなぎなおすこと
単なる「筋が通っている」以上に、相手が納得できる構造を意図的に作ること――これが、私たちが伝えるロジカルシンキングの本質です。

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